大阪ガス株式会社創業1905年、ガス灯の時代から110年以上にわたって暮らしと産業を支えてきた大阪ガス株式会社
需要家主導による太陽光発電導入レポート

総合エネルギーカンパニーが支える
カーボンニュートラル社会の実現

令和3年度補正大阪ガス株式会社
創業1905年、ガス灯の時代から110年以上にわたって暮らしと産業を支えてきた大阪ガス株式会社

本事業の概要

本事業がもたらすメリット

大阪ガス株式会社今回お話を伺った3名。左から、大阪ガス株式会社 ガス製造・発電・エンジニアリング事業部 電力事業推進部 次世代事業チーム 副課長 和氣宏昇様/同事業部 再生可能エネルギー開発部 開発第2チーム副課長 石丸智久様/同事業部 再生可能エネルギー開発部 開発第2チーム 沼田朝陽様

110年以上にわたり、ガスの安定供給を通して産業の発展を支えてきた大阪ガス株式会社。
「時代を超えて選ばれ続ける革新的エネルギー&サービスカンパニー」を目指して2018年に新グループブランド「Daigasグループ」を導入するなど、総合エネルギー企業として存在感を高めている。その一つが電気事業だ。1995年の電気事業法改正による卸電力市場の自由化を機に発電事業をスタートした。当社の発電事業の歴史は、すでに30年近い実績がある。

CO2排出量の少ない天然ガス(LNG)を使った火力発電から始まり、温室効果ガス削減への世界的な流れを受け、2004年より再生可能エネルギー(以下再エネ)事業に参画した。再エネ電源開発は、太陽光、風力、バイオマスなど幅広く取り組んでいる。当社は2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、2030年度までに自社開発や保有に加えて、他社からの調達も含めて、国内外で500万kWの再エネ電源の普及に貢献することを目指している。2023年11月末時点の再エネ普及貢献量は約250万kW、内、太陽光発電による開発・保有は97万kW(建設中含む)まで拡大している。

FIT電源含む

大阪ガス株式会社再生可能エネルギー普及貢献目標と実績の推移
大阪ガス株式会社Daigasグループの国内における主要な開発・保有実績

本事業の導入経緯

大阪ガス株式会社背景に詳しい石丸氏に本事業の導入経緯を伺った。

再エネ普及貢献目標達成に向けて、太陽光発電の開発は重要な取り組みの一つだと考える。これまで当社での太陽光発電の開発は、大型のFIT太陽光の買収をメインで進めていた。しかしながら、大型太陽光発電に適した土地の減少、およびFIT制度における調達価格の低下によって大型FIT太陽光発電の開発が難しくなってきた。そのため非FITでの開発をする必要性が高まった。

非FITでの開発は、資産のオフバランス化を図りつつ、スピード感をもって進めていくためにも、開発能力のある太陽光デベロッパーと当社が共同で開発を行うスキームが最適と判断した。約100社と面談した中で、太陽光の電源開発の実績が豊富なJAG国際エナジー株式会社(現:株式会社エネウィル)と、協業に向けて検討を進めた。

大阪ガス株式会社協業に際し、諸条件のすりあわせに尽力された沼田氏

ここでの課題がコストであった。生み出される電力は当社が買い取って需要家に供給する前提で非FITの電源開発を行う、供給原価と需要家の再エネ電気購入の価格目線が合わない、または価格目線に合うコストでの開発規模は限定的となるため、実際に開発を進めるまでには至らなかった。そのような中で、需要家主導による太陽光発電導入促進補助金の情報を得た。需要家主導による太陽光発電導入促進補助金は、特定の需要家へ電気を供給するために、新規の非FIT・非FIP太陽光発電所を設置・所有する事業者に対して補助金が支出されるしくみだ。当社が目指す非FITでの開発の取り組みとまさに合致し、補助金を活用した開発および需要家への供給へと乗り出した。

本事業がもたらすメリット

本事業がもたらすメリットの一つとして、需要家の間で補助金を利用できる再エネ調達方法としての認識が広まり、少なからず抵抗感があった長期の電力調達契約に対する需要家の許容性が高まったことが挙げられる。ESG経営を「優先して取り組むべき課題」と多くの企業が認識し、RE100や “再エネ100宣言 RE Action” へ参加する企業・団体が増加する中、再エネ電気の調達競争が激しくなると予測されている。そのような風潮から、入手可能なうちに再エネ電気を長期にわたって調達しておく経営戦略を選択されるなど、需要家の意識が変わってきたようにも思われる。

本事業における補助金制度のアドバンテージ

大阪ガス株式会社補助金により、需要家との価格目線の合意形成を行い易くなったと話す和氣氏

補助金による初期コスト低減により、非FITの電源開発における一番のネックであった需要家との価格目線の合意形成を行い易くなった。太陽光発電に適した広大な平地が減少する中で、斜面等を開発するには造成工事に多額の費用を要するためにコストが見合わなかった。また系統費用が高いことで開発を断念していた候補地もあった。開発コストが最安水準でない上記案件の開発も補助金のおかげで可能となり開発量が拡大した。

Daigasグループの再生可能エネルギーに関連する今後の展開

Daigasグループでは「エネルギートランディション2030」を策定し、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、2030年に向けた具体的な取り組みを示している。その中で電力事業に関連する目標として、下記2点を設定している。

1.自社開発や保有に加えて、他社からの調達も含めて、国内外で500万kWの再生可能エネルギー電源の普及に貢献します。
2.国内電力事業における再生可能エネルギー比率を50%程度にすることを目指します。

高い目標を達成するため、引き続き太陽光をはじめとする再エネ発電事業を拡大していく方針だ。CO2排出量削減を目指す顧客のニーズを受け、当社は以前よりさまざまなニーズに対応可能な「D-Green」ラインアップをそろえてきた。今回はさらに需要家専用に新設した再エネ電源を初期投資不要で利用可能なコーポレートPPA「D-Green Premium EX」を料金メニューに追加した。 本事業は「追加性」により再エネ電気の普及拡大を推進し、需要家と社会のカーボンニュートラル達成へ貢献する。再エネの課題である出力変動を補完できる系統用蓄電池にも注目しており、2023年に系統用蓄電池事業に本格参入した。2025年上期の運転開始を目指している(定格出力1.1万kWh、定格容量2.3万kWh)。蓄電池を電力系統に接続すると、系統の電力が余った時には蓄電し、不足した時には放電できるため、電力系統の安定化に寄与できる。当社がこれまで培ってきた電力トレーディング知見を活かして、3つの電力市場(卸電力市場・需給調整市場・容量市場)との取引を通じて、系統の安定化に貢献したい。
また、高コストがデメリットとして挙げられる蓄電池の普及に向けて、電動モビリティの使用済み蓄電池を回収し、コストを抑えたリユース蓄電池として活用する実証試験も進めている。

Daigasグループは、再エネ開発・小売事業を通して顧客の課題を解決するとともに、社会課題であるカーボンニュートラル社会の実現に総合力で取り組んでゆく。

大阪ガス株式会社の実施体制スキーム図図:大阪ガス株式会社の実施体制スキーム図

本事業に関する問い合わせ先

大阪ガス株式会社
  • 担当部署:ガス製造・発電・エンジニアリング事業部 再生可能エネルギー開発部 開発第2チーム
  • 担当:石丸智久
  • 連絡先:06-6205-2388
  • email:t-ishimaru@osakagas.co.jp
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