サスティナブルソーラーウェイ合同会社補助金制度を活用して開発を行った北野SW(三重県)
需要家主導による太陽光発電導入レポート

40か所以上の発電所を短期間に新規開発!
成功の影には信頼と協業あり

令和3年度補正サスティナブルソーラーウェイ合同会社
補助金制度を活用して開発を行った北野SW(三重県)

本事業の概要

サスティナブルソーラーウェイ合同会社今回お話を伺ったサスティナブルソーラーウェイ合同会社の関係者の皆様(左から沼田朝陽様、石丸智久様、榊田剛様、伊藤克彦様)

サスティナブルソーラーウェイ合同会社(以下:サスティナブルソーラーウェイ)は株式会社エネウィル(以下:エネウィル)と、大阪ガス株式会社(以下:大阪ガス)との出資により設立された太陽光発電事業者だ。
エネウィルは高圧電力を中心に豊富な太陽光発電所の企画・開発実績を持つ。そのスタートは2009年の「宮崎ソーラーウェイプロジェクト」にあった。宮崎県が公募した「みやざきソーラーフロンティア構想」に採択され、リニアモーターカーの実験線であった休閑地を太陽光発電所へと転用し、地元自然エネルギー由来の電力を活用する「エネルギーの地産地消」を実現した。この試みで休閑地の活用と地球規模のCO2削減、ミクロとマクロの課題を一挙に解決へと導いた。現在は177か所、約240MWの開発実績を誇る。

今回、既にバイオマス発電事業で協業実績があった大阪ガスとサスティナブルソーラーウェイを設立し、協業でオフサイトPPAに参入本事業を活用し40か所を超える発電所(出力合計約16MW-DC)の運転開始に成功した。

本事業の導入経緯

サスティナブルソーラーウェイ合同会社「合同会社の設立はお互い信頼関係があったからこそ成功した」と語る榊田氏

大阪ガスとエネウィル両社は、FITから脱却するために非FIT太陽光発電の開発事業を拡大したいと考えていた。開発力があり信頼できるパートナーを探していた大阪ガスと、開発した発電所の付加価値最大化につながるパートナーを探していたエネウィルの考えが一致し、協業に至った。
太陽光発電事業における協業の検討自体は、補助金公募開始前からスタートしていた。公募開始後に協業の検討をスタートしていたのでは間に合わなかっただろう。既に信頼関係が成立していたからこそ成功したと確信している。本事業の要件である需要家との8年以上の契約は大阪ガスの営業能力を活かして満たし、一方で開発候補地はエネウィルがこれまで検討を進めてきた土地を提案した。両社の実績とネットワークを活用して事業を円滑に進めた理想的なモデルケースといえる。

サスティナブルソーラーウェイ合同会社「両社の強みを活かすことで、両社ともに未経験の本事業が成功した」と語る石丸氏

本事業がもたらすメリット

本プロジェクトでは40か所以上の追加性のある発電所を一度に新設した。発電所が全国に点在するため天候の影響が分散され、発電量をより安定して確保できる利点もある。発電所の全国点在は通常避けられる傾向にあるが、今回は小売電気事業者でもある大阪ガスが快諾したから実現した。さらに、大阪ガスが小売電気事業者として多数の発電所が発電した電気をまとめて取り扱うことで、非FIT太陽光発電事業を前提とした金融機関からのノンリコース型融資の調達手法を確立できたことも、継続的な今後の開発につながる。

サスティナブルソーラーウェイ合同会社「先祖代々の土地を受け継ぐ気持ちに応えられなければ成功はない」と語る伊藤氏

開発で最も心を砕いたのが地権者の思いを伺い、理解するということである。「先祖代々守ってきた土地を、本当にこの企業に売却(貸与)してよいのか」と深く悩まれている。貴重な土地を太陽光発電に使わせていただければ、気候変動の影響を抑制でき次世代へよい環境を残せる等、時間をかけ丁寧に説明した上で合意形成へつなげている。
このように地権者および近隣住民に納得していただいた上で着工すると、トラックの通行や作業場の提供などでもご協力・ご支援をいただける。単なる工事ではなく、地域の未来を創る仕事であると認識を持つことが開発においておさえるべき重要なポイントだ。

本事業における補助金制度のアドバンテージ

補助金制度は太陽光発電がFIT制度に頼らず、競争力のある「自立した電源」となるために重要な施策だと考えられる。補助金によって造成費や系統費用等のコストが比較的高い発電所も開発可能となり、開発量を拡大できる効果がある。
2022年3月、公募が出てから提出すべき書類をまさに手探りで作成開始した。本事業はFIT等と比較すると電気の供給についてのルールが追加され、書類の読み込みと作成に時間を要した。スケジュールは非常にタイトであったが、応募申請、交付申請と複数回あるポイントで太陽光発電協会(JPEA)に提出し、修正等の指示を仰ぎながら書類の完成度を高めていった。
また、系統接続や行政が定めるルールや手続(農地転用)など、どうしても協力や指導を仰ぐ関係者がいる業務があることを考慮しておく必要がある。開発は想定通りには進まないことを前もって需要家に説明しておくことも大切だ。

サスティナブルソーラーウェイ合同会社 積雪した北野SW

運転開始期限が定められているということは、工期が重なることを意味する。今回30サイト超の工事完了が2023年1~2月に集中し、試運転等で多忙を極めた。さらに天候の影響も大きく、三重エリアは降雪によって休工日が数日発生した。工程表の管理精度を上げ運転開始日を間に合わせたが、これまでの実績、そして補助要件を何があっても守るという強い決心があったから成功した。

本事業ならびに再生可能エネルギーに対する今後の課題

本事業はお互いの長所を活かせる共同開発の形で進め、本事業を通じてさらに信頼関係を深めることができた。 今回築いた信頼関係を活かし、次のプロジェクトも別の合同会社で補助事業の申請を行った(現在進行中)。おたがいの強みを最大限に発揮できる共同開発により、太陽光発電・供給をさらに拡大させていきたい。

サスティナブルソーラーウェイ合同会社の実施体制スキーム図図:サスティナブルソーラーウェイ合同会社の実施体制スキーム図

本事業に関する問い合わせ先

サスティナブルソーラーウェイ合同会社
  • email:sustainable@enewill.com
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