株式会社UPDATER壁一面のコンセントが来訪者を迎えるエントランス
需要家主導による太陽光発電導入レポート

「作り手の見える」
100%再生可能エネルギーを届ける

令和3年度補正株式会社UPDATER
壁一面のコンセントが来訪者を迎えるエントランス

本事業の概要

「この人が作った電気を買いたい」という創業者の思いから始まった株式会社UPDATER(以下 UPDATER)。扱うのは100%再生可能エネルギーのみというシンプルさと、「顔の見える電力®」という理念に共感した発電事業者・需要家双方からの申込が舞い込み急成長を遂げている。2023年4月、本事業を利用して医療法人伯鳳会グループ様追加性のある再エネとして世界的にも評価の高いコーポレートPPAによる電力供給をスタートした。

株式会社UPDATER今回お話を伺った、UPDATER 共創・コミュニケーション部 マネージャー 間内賢様。 旧社名である「みんな電力」創業当初からのメンバーだ

本事業の導入経緯

UPDATERは、みんな電力株式会社として2011年に創業した。代表の大石英司が「電気も生産者が選べる社会へ」という理念で立ち上げたが、当時は「電気は誰が作っても同じだ」と「電気の作り手」を選ぶアイデアは全く共感されなかった。

2016年の電力自由化、カーボンニュートラル宣言、そしてウクライナ危機や為替変動による燃料高騰等、電力を取り巻く社会情勢がダイナミックに激しく変化する中で、次第に支持され口コミで紹介や評価が広まっていった。CM等を行っていないにもかかわらず、現在では経営方針に共感していただいた発電事業者や需要家からの契約依頼が数多く寄せられている。

株式会社UPDATER第4回「ジャパンSDGsアワード内閣総理大臣賞」など数多くのアワードを受賞

伯鳳会グループ様から、「本当に再生可能エネルギーという確証がある電力を導入したい」という要望を受け、本事業によるコーポレートPPA導入に至った。補助金に関する情報入手、発電事業者との連携、そして伯鳳会グループ様への丁寧な説明が成功へと導いた。

本事業がもたらすメリット

株式会社UPDATER
「UPDATERが扱う電力は100%再生可能エネルギーかつ電力の生産者が選べる「顔の見える電力」。そこに魅力を感じる顧客が増えた」と話す間内氏

RE100など、カーボンニュートラルを積極的に目指す企業・法人は環境保全への意識が高い。火力発電由来の電気に非化石証明書を組み合わせた「実質再エネ」ではなく、いつ、どこで、どのような再生可能エネルギーによって発電されているか透明性を求める傾向を強く感じる。

当社は創業以来一貫して再生可能エネルギーを扱っている。大規模なウインドファームからごく小規模の太陽光まで、調達先は計800か所にものぼる。その内訳は太陽光が約60%、風力が約30%、その他バイオマス、水力、地熱と続く(発電出力ベース)。その800か所からの電源を集約・調達し、全国の需要家へ供給する。

株式会社UPDATER P2P電力トラッキングシステムのイメージ

また当社の看板技術である「P2P電力トラッキングシステム*」は、「○○さんが作った野菜」のように、作られた電気が客観的に追跡可能だ。そのデータは改ざんが非常に困難で、取引記録の削除も不可能、システムダウンも起きにくい。このシステムによって、作り手が見える再エネ電力を証明できる。

*2018年に世界で初めて商用化したブロックチェーンを活用したシステム。発電量と需要量を30分ごとに取引として約定し、約定結果をパブリックブロックチェーン上に書き込むことで、「どの電源からどれだけ電気を買ったか」を証明する。(UPDATER ウェブサイトより)


株式会社UPDATER P2P電力トラッキングシステムで視覚化された情報のイメージ

需要家は専用のウェブページで30分毎の使用電力量と供給元の発電所を確認可能だ。言い換えると脱炭素経営への取り組みを具体的に「見える化」している。伯鳳会グループ様への供給実績において、春季のある一日では早朝から夕方まで、ほぼコーポレートPPAの電力で賄えていることも分かった。

本事業における補助金制度のアドバンテージ

今回、発電所建設の補助を受けられたことで、補助金なしの場合と比較し電力調達額は概ね3円/kWhほど安価になる(2023年9月7日現在)。これは小売電気事業者だけでなく需要家にとっても非常に大きなアドバンテージである。本事業の存在は需要家がコーポレートPPAを導入する大きな後押しとなる。

具体的な料金設定は下図の通りである。本事業による電気料金は、既存種別である①夏季②冬季③他季別の平日昼間料金と、④夜間休日料金に、⑤コーポレートPPA料金が設定されている。コーポレートPPAで賄いきれない電力使用分は、実際に使用季節・時間帯による単価で計算される明朗でシンプルなシステムだ。

株式会社UPDATER今回新設した発電所分の電気料金は⑤「コーポレートPPA」に設定。それだけでは賄いきれない分に①~④の単価が適用される。

国際情勢などの影響による電力市場のボラティリティが懸念される昨今、本事業による電気料金の一部固定化と、安定的に追加性のある再エネ調達が可能になることは非常に魅力的ながら、全ての需要家に対して恩恵が行き届かない点は課題だと感じている。その理由は申込条件としての需要電力2MW以上、そして8年以上にわたる長期契約という厳しい条件を満たせる企業が少ないためだ。仮に需要家を複数集めて2MWの条件をクリアできても、全需要家が長期にわたる経営を維持できる体力を持っていなければならない。より広く利用されるためには契約期間条件の緩和も有効だと考えられるが、発電所投資回収の観点で電気料金に反映されるため現状は悩ましい。

本事業ならびに再生可能エネルギーに対する今後の展開

株式会社UPDATER今後、世界的に「TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)によっても脱炭素経営と生物多様性の両立が一層求められる」と話す間内氏

今後ますます再生可能エネルギーの需要は高まると確信している。特に、金融機関不動産、そしてアパレル業界において再エネ電力の導入が加速するだろう。伸び代があり、かつ消費者がサービスを選択する際に「環境への配慮」が選定基準に含まれるためだ。
本事業によるコーポレートPPAを導入した伯鳳会グループ様は、事業活動における電力を100%再エネとすることを目指す「再エネ100宣言 RE Action」に参加し、医療介護業界において脱炭素化のリーダーシップを発揮している。この流れは同業他社にも大きなインパクトとなるだろう。

株式会社UPDATERの実施体制スキーム図図:株式会社UPDATERの実施体制スキーム図

本事業に関する問い合わせ先

株式会社UPDATER
  • 担当:コーポレート本部 共創・コミュニケーション部マネージャー 間内 賢 様
  • 連絡先:03-6805-2228
  • email:pr@minden.co.jp
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